国内におけるリール市場といえば、ダイワ、シマノの2強状態です。続いてアブガルシアでしょうか。
様々なメーカーのあるロッドやルアーと違って、技術的な問題なのか、リールは昔からダイワとシマノがほぼ独占していますよね。過去にはリョービもありましたが、釣り具から撤退して久しいですし。
釣り人のあいだでたびたび議論になるのが「ダイワとシマノ、どっちが優れているか」ということです。
過去には耐久性ならシマノとか、トラブルレスならダイワといった論調がありましたが、今では明確な差はなくなっていると思います。
わたし個人としてはどっちが好きということはなく、ときどきで魅力を感じる機能やデザインのリールを使っているという感じですね。
目次
エントリークラス:レブロスVSサハラ
まずはエントリークラスのリールから対決です。エントリークラスといえども昨今の技術進歩は素晴らしいもので、十分すぎるくらい使えるものになっています。
デザイン
【レブロス】

【サハラ】

スペック
項目 | レブロス2500D | サハラ2500 |
ギア比 | 5.3 | 5.0 |
巻取長 | 75cm | 73cm |
自重 | 220g | 250g |
最大ドラグ力 | 5kg | 9kg |
糸巻量/ナイロン | 3号-150m | 3号-120m |
糸巻量/PE | 1.2号-300m | 1.2号-220m |
ベアリング | ボール4/ローラー1 | ボール4/ローラー1 |
メーカー希望価格 | 8900円 | 9000円 |
搭載テクノロジー | LTコンセプト エアローター ロングキャストABSスプール ATD ツイストバスターⅡ | HAGANEギア Xシップ Gフリーボディ AR-Cスプール |
寸評
レブロスは今年(2020年)にモデルチェンジしただけあって、自重ではっきりとした優位性が見られますね。また、昨今のダイワリールに搭載されているLTコンセプトも新たに搭載しました。
とはいえ、サハラもHAGANEギアなど、シマノリールの根幹となるような技術をしっかり搭載しています。
どちらのリールも釣りをはじめるときの最初の1台として、あんまりやらない釣りに使うサブリールとして、誰にでも勧められる機能を有しています。
どちらかを選ぶのなら、モデルチェンジしたてということでレブロスのほうが良さそうですね。
ミドルクラス:カルディアVSストラディック
ミドルクラスといえば、メーカーの中核を担う売れ筋モデル。
お値段もそこそこしますが、その分機能が詰め込まれており、価格と機能のバランスでいえば最もコストパフォーマンスに優れているクラスでしょう。
デザイン
【カルディア】

【ストラディック】

スペック
項目 | カルディアLT2500S | ストラディック2500S |
ギア比 | 5.3 | 5.3 |
巻取長 | 75cm | 78cm |
自重 | 185g | 220g |
最大ドラグ力 | 5kg | 9kg |
糸巻量/ナイロン | 6lb-100m | 5lb-110m |
糸巻量/PE | 0.6号-200m | 0.6号-200m |
ベアリング | ボール6/ローラー1 | ボール6/ローラー1 |
メーカー希望価格 | 22700円 | 26000円 |
搭載テクノロジー | LTコンセプト マグシールド ATD ザイオンボディ エアローター 肉薄アルミスプール アルミマシンカットハンドル タフデジギア ABSⅡ クロスラップ エアベール ツイストバスターⅡ ラインローラーBB ローターブレーキ CRBB | HAGANEギア マイクロモジュールギアⅡ Xシップ HAGANEボディ サイレントドライブ Xプロテクト Gフリーボディ AR-Cスプール ロングストロークスプール S AR-B ワンピースベール |
寸評
搭載テクノロジーを見ると、大したことのない機能でも言ったもの勝ちなんじゃないかって印象がありますね。とにかくいっぱい載ってますって感じです。
LTコンセプトを搭載してから、ダイワリールは大幅に軽量化されました。そのため、カルディアクラスであっても185gと大変軽量に仕上がっています。
一方のストラディックは220gとやや重ためですが、堅牢感のある仕上がりとなっています。
その違いを生み出しているのはボディ素材です。
カルディアにはカーボン強化樹脂である「ザイオン」が使われています。
ストラディックには高強度金属である「HAGANE(アルミ)」が使われています。
コンセプトの違う両者ではありますが、同じ価格帯での勝負ということでカルディアとストラディックをチョイスした次第です。
個人的には現在の技術であれば、カーボン強化樹脂であっても必要十分な強度が保てると考えており、価格が安いことも相まってカルディアを推します。
ただし、金属のカッチリ感というのは樹脂素材には出せない「味」がありますし、リールが軽いからと言ってロッドに装着したときに軽く感じるかというとそうではありません。
手元に重量がくるほうが軽く感じるケースも多々あります。特にグリップから先が重たいロッドほど顕著になりますので、強めのタックルを使っている方はストラディックのほうがしっくりくると思います。
ミドルハイクラス:セオリーVSストラディックCI4+
ミドルハイは軽さ対決といきましょう。
両者ともカーボン強化樹脂素材を使った軽量モデルで、自重だけ見ればハイエンドクラスにも劣らないレベルとなっています。
ダイワのこのレベルの軽量モデルといえば20ルビアスじゃねぇの?って声もありそうですが、価格帯が合わなかったのでセオリーをチョイスしました。
デザイン
【セオリー】

【ストラディックCI4+】

スペック
項目 | セオリー1003 | ストラディックCI4+C2000S |
ギア比 | 4.8 | 5.0 |
巻取長 | 60cm | 66cm |
自重 | 155g | 160g |
最大ドラグ力 | 2kg | 3kg |
糸巻量/ナイロン | 3lb-100m | 3lb-125m |
糸巻量/PE | 0.4号-100m | 0.6号-150m |
ベアリング | ボール7/ローラー1 | ボール6/ローラー1 |
メーカー希望価格 | 31000円 | 30000円 |
搭載テクノロジー | LTコンセプト マグシールド ATD ザイオンボディ エアローター(ザイオン製) アルミスプール アルミマシンカットハンドル マシンカットデジギア リニアシャフト ABSⅡ クロスラップ エアベール ツイストバスターⅡ ラインローラーBB ローターブレーキ リアルインフィニットストッパー CRBB | HAGANEギア Xシップ マグナムライトローター(CI4+製) CI4+ボディ コアプロテクト Gフリーボディ AR-Cスプール ロングストロークスプール S AR-B ワンピースベール |
寸評
まさに軽さの最高峰の争いという様相です。あえて一番軽い最小モデルでのスペック比較をしています。
セオリーのほうが、なんだか色々搭載されていますね。このあたりは言ったもの勝ち的な部分もありますが、一方でプロモーション上手とも言えますね。シマノは控えめだなぁと。
注目したいのはスペックでは分からない「軽さ」ですね。
自重だけみればセオリーのほうが5g勝っていますが、シマノの言う「軽さ」とは自重だけにとどまりません。
それは「巻きはじめの軽さ」です。
ストラディックCI4+に搭載された「マグナムライトローター」は、左右非対称な形状をしておりデザイン的にはダイワの「エアローター」のほうが美しいかもしれませんが、機能美という点では「マグナムライトローター」が勝ります。
ハンドルに手を掛けた最初の巻きの軽さ、初動、そこの軽さを体現するための中核機能が「マグナムライトローター」であり、これは上位機種の「ヴァンキッシュ」にはじめて搭載されたときから一定の評価を得ています。
私自身ははじめてエアローターを見たときのデザイン性に惚れて、当時使っていた「レアニウムCI4」から現在も使っている「12ルビアス」に乗り換えた人間なんですけどねw
「巻きはじめの軽さ」という部分にどれだけ重要度を見出せるかが選ぶ時の争点になりそうです。実際にはライトゲームであればあるほど、その優位性は生きてくるのかなと思いますね。
ハイクラス:セルテートVSツインパワー
先ほどの軽量対決とは一転して、ハイクラスは両社がパワー重視のリールとして出している2機種の勝負となります。
デザイン
【セルテート】

【ツインパワー】

スペック
項目 | セルテートLT3000 | ツインパワーC3000 |
ギア比 | 5.2 | 5.3 |
巻取長 | 77cm | 78cm |
自重 | 225g | 215g |
最大ドラグ力 | 10kg | 9kg |
糸巻量/ナイロン | 8lb-150m | 12lb-150m |
糸巻量/PE | 1号-200m | 2号-200m |
ベアリング | ボール12/ローラー1 | ボール9/ローラー1 |
メーカー希望価格 | 49000円 | 44000円 |
搭載テクノロジー | LTコンセプト タフデジギア モノコックボディ マグシールド ATD エアローター(ザイオン製) ストッパーレスボディ LC-ABS エンジンプレート 新設計防水ストッパー 新脚裏形状 シームレス新形状エアベール 2BBラインローラー ツイストバスターⅡ マシンカットハンドル 新形状ラインストッパー CRBB | HAGANEギア マイクロモジュールギアⅡ Xシップ HAGANEボディ Xプロテクト サイレントドライブ Gフリーボディ AR-Cスプール ロングストロークスプール リジットサポートドラグ S AR-B ワンピースベール NEW低摩擦ローラークラッチ 新設計ベール開閉機構 新形状ラインクリップ |
寸評
安心のカッチリ感。ヘビーにタックルを使う人にとっては軽量モデルよりも、強度と耐久性に優れたモデルが魅力的ですよね。
セルテートは「モノコックボディ」を搭載しており、ベアリングの数でもツインパワーを上回っています。
ツインパワーは、まるでステラそのままのようなテクノロジーが搭載されていて、昔からステラはちょっと高いけど…って人の受け皿になっています。性能的にはこのクラスで十分すぎるくらいですからね。
個人的には「モノコックボディ」搭載リールを使ってみたいのでセルテートを選びたいですが、ツインパワーはステラが登場する以前のシマノのフラグシップ機であるなど、登場してからの歴史が違います。
フラグシップクラス:イグジストVSステラ
フラグシップクラスになると、前述のミドルハイから倍以上価格がアップします。本当に突き詰められたスペシャリティモデル。技術の結晶。
はっきり言って「魚を釣る」という行為だけを考えれば過剰性能であることは間違いないです。しかしそこには、下位クラスでは味わえない「所有欲」を満たす何かが存在することは間違いありません。
筆者は、子育てが終わって余裕ができたら使ってみたいな~って思ってますw
デザイン
【イグジスト】

【ステラ】

スペック
項目 | イグジストLT2500 | ステラ2500S |
ギア比 | 5.2 | 5.3 |
巻取長 | 73cm | 66cm |
自重 | 155g | 205g |
最大ドラグ力 | 10kg | 4kg |
糸巻量/ナイロン | 6lb-150m | 6lb-95m |
糸巻量/PE | 0.8号-200m | 0.8号-150m |
ベアリング | ボール12/ローラー1 | ボール12/ローラー1 |
メーカー希望価格 | 69000円 | 81900円 |
搭載テクノロジー | LTコンセプト タフデジギア モノコックボディ マグシールド ATD エアローター(ザイオン製) エンジンプレート 新設計防水ストッパー 新脚裏形状 シームレス新形状エアベール 2BBラインローラー ツイストバスターⅡ マシンカットハンドル ハイグリップ軽量ハンドルノブ 新形状ラインストッパー クロスラップ 新形状リールバッグ マグシールドボールベアリング CRBB | HAGANEギア マイクロモジュールギアⅡ Xシップ HAGANEボディ Xプロテクト サイレントドライブ Gフリーボディ AR-Cスプール ロングストロークスプール E.I.(超防錆処理) リジットサポートドラグ S AR-B ワンピースベール NEW低摩擦ローラークラッチ 金属ローター DLCラインローラー コイルドウェーブスプリング 新設計ベール開閉機構 新形状ラインクリップ |
寸評
ハイエンドということで、両社のいちばん高いリールを比較したものの、シマノのステラはコアソリッドシリーズという堅牢性を重視したモデルになるので、LTコンセプトのイグジストとは方向性が異なりますね。どちらかといえばヴァンキッシュのほうがしっくりきたかもしれません。
とはいえ、両者からはメーカーそれぞれの方向性が見てきます。
より軽く、それでいて強くを追求するダイワ。
軽さの追求と強さの追求を分けて、ステラで圧倒的な剛性感を追求するシマノ。
それぞれ、ダイワなら強さではセルテート、シマノなら軽さではヴァンキッシュという、準ハイエンドがいますけどね。
個人的に、イグジストの「モノコックボディ」に結構心がときめいちゃっています。革新的なボディ成型で内部スペースを大きく取れるから、その分だけギアが大きくできたり、同サイズのギアならボディを小さく(軽く)できるとな。
けっこう小さいことを大げさに言ったりする釣具界のなかでも、かなり理にかなっているし技術の進歩を感じさせてくれます。
対するステラは、基本性能の徹底的なブラッシュアップという感じでしょうか。目新しい技術で売り出すのではなく、根幹の技術を徹底的に磨いていった職人的な逸品というイメージです。
また、モデルとしてもステラのほうが息が長く、シマノのフラグシップ=ステラというイメージと最高級リール=ステラというイメージが釣り人の間には定着しています。そのイメージというのは、イグジストとは一線を画するものだと思います。
モノコックボディ自体はイグジストでなくても、下位機種のセルテートや20ルビアスにも搭載されています。
死ぬまでに一度は使ってみたいという意味では、ブランド的な憧れも含めてステラに軍配が上がりますね。
いや、8万円ですから、今でも買おうと思えば買えますけど、リールの価格から考えるとすごく高いですよ。車で例えるなら、ヴィッツでも事足りるのにレクサスに乗るぜ!みたいな感じですからね。そこにお金をかけるのは勇気がいりますよ。