【徹底レビュー】マイクロソルトSE MSS80MLTC【購入しました】

おれはプロックスに謝らなければならない。
他社にはないユニークなパックロッドをつくるため、大阪の奇才メーカーと称賛しているものの、自分自身はプロックスのロッドを使ったことがなかったのだ。
申し訳ない。プロックスさん。
この度、貴社のパックロッドを購入させていただきました。今年登場したマイクロソルトSEでございます。機種はMSS80MLTCです。精一杯レビューをさせていただくので、どうかお許しください。
そして読者の皆様。8フィートながら39センチと抜群のモバイルレングスを誇り、しかもベイトロッドという、他に類を見ない変態ロッドの購入を検討する際の参考にしていただけたら幸いです。
スペック
なにはともあれスペックから。他機種も含めて記載しますね。
機種名 | タイプ | 標準全長(cm) | 仕舞寸法(cm) | 継数(本) | 標準自重(g) | 先径(mm) | 元径(mm) | ルアーWt(g) | ラインWt(lb) | カーボン含有率(%) | 税抜希望小売価格 |
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MSS60MLTC | ベイト | 183+15 | 35.5 | 7+1 | 97+51 | 1.4 | 11.5 | 7〜21 | 8〜16 | 88 | 8500円 |
MSS70MLTC | ベイト | 216+15 | 37 | 8+1 | 101+51 | 1.4 | 13 | 7〜21 | 8〜16 | 86 | 9000円 |
MSS80MLTC | ベイト | 249+15 | 39 | 9+1 | 111+51 | 1.4 | 15.5 | 7〜21 | 8〜16 | 86 | 9500円 |
MSS60MLTS | スピニング | 183+15 | 34.5 | 7+1 | 97+51 | 1.4 | 11.5 | 7〜21 | 8〜16 | 88 | 8500円 |
MSS70MLTS | スピニング | 216+15 | 36 | 8+1 | 100+51 | 1.4 | 13.5 | 7〜21 | 8〜16 | 86 | 9000円 |
MSS80MLTS | スピニング | 249+15 | 38 | 9+1 | 118+51 | 1.4 | 15.5 | 7〜21 | 8〜16 | 86 | 9500円 |
ベイトタイプとスピニングタイプ、それぞれ6フィート、7フィート、8フィートのラインアップです。
このなかで唯一性が際立つのが、今回購入した8フィートのベイトモデル(MSS80MLTC)です。8フィート超えのベイトパックロッドといえば、他社だとダイワのモアザンモバイルくらいでしょうか。
フィッシュマンも8フィート超えのベイトロッドが多数ありますが、基本的に3ピースなのでパックロッドとはちょっと呼び難いですからね。
ガイドをチェック
ロッドのなかで最も分かりやすいグレードの指標がガイドです。

実売で1万円以下のエントリークラスですが、ガイドは安心の富士工業のものが使われています。
Amazonによく出没している怪しい海外製のロッドだと、どこのものだか分からないガイドが使われていますけど、このあたりはやっぱり国内メーカーですね。

ガイドの個数は8個です。8フィートというレングスとベイトロッドであることを考慮すると、ちょっと少ないかな。
テレスコピックのロッドは、構造上ガイドの個数は少なくなる傾向にあり、スピニングロッドだと8フィート台のロッドでも、ガイドが7個というものもあります。
しかし、ベイトロッドの場合はガイドの背丈が低いため、ブランクにラインが干渉するのを防ぐためにガイドの個数が多くなります。この長さなら11個あっても良かったとは思いますが、ガイドが増えればその分重たくなります。
後述しますが、多点継のパックロッドということで先重りがけっこうあります。よってガイドの個数を増やしづらいということもあったのかもしれません。もちろんコスト的にもね。
ベイトロッドなので、すべて小口径のガイドとなっています。フレームの強度は十分ですが、SICリングではなくOリングが使われているものと思われます。明確な表記がないので見た目や価格から察した限りですけど。

バッドガイドはテレスコピック用の誘導ガイドではなく、固定式の通常のものが使われています。最近のテレスコピックロッドに多い、固定式を誘導式にしたものではなく、完全に固定されています。
グリップをチェック!
プロックスがよく採用する技術といえば「エクステンショングリップ」ですよね。マイクロソルトSEは初代の「意味があるの?」レベルのエクステンション(延長)から、ちゃんとしたエクステンションに進化しています。

これはエクステンション前のグリップです。セミダブルともシングルとも言いにくいビミョーな長さです。8フィートというレングスを考えれば、まずこの状態では使わないでしょう。

こっちがエクステンション後のグリップです。しっかりと両手で保持できるダブルグリップになりました。
脇に挟んで使えるかと問われれば、これまたビミョーに長さが足りません。脇でグリップを保持することで腕の負担を軽減でき、重量のあるタックルやルアーを使っても疲れにくくなります。一方でグリップが長くなると取り回しが悪くなるので、このあたりは取り回し重視ってことで良いでしょう。

グリップというか、リールシートの上部にはメーカー名が入っています。リールを装着すると隠れてしまう場所ですが、こういうところにプロックスの奥ゆかしさを感じますね(てきとー)

安定のメイドインチャイナ!このあたりは価格から考えて仕方のないところです。
というより、今の時代で大事なのは生産地よりも品質管理ですからね。ダイワのハイエンドロッドでも産地は台湾だったり、必ずしも国内生産とは限りません。よって、海外生産だったとしても品質管理がしっかりしていれば問題ありません。
とはいえ、低価格のものはどうしても初期不良の確率が上がってしまいます。このあたりはコスト面から考えても仕方のないことなのでしょう。
ケースをチェック!

プロックスのパックロッドに多い、四角筒状のものです。
ちょっと重たいですが、外装がかなり固いため保護力は高くなっています。

開口部はグルっとチャックが付いており、広くとられています。
1周しているわけではないので、完全にはとれません。開けてしまえば出し入れはしやすいですが、こういうタイプは少しチャックが開けにくいのがネックですね。

取っ手はしっかりと縫い付けられていますが、特に工夫は見られません。
個人的には、これ単体で持ち運ぶことはまずないので、もはや取っ手などなくても良いレベルなので気になりません。
これだけモバイル性能に優れているのだから、他のタックルと一緒にバッグにインするでしょ。
ルアーを投げてみる。
荒川にマイクロソルトSEを携えて行ってみました。
リールはアブガルシアの「REVO ALC IB7L」を装着。ラインはPE1.2号に4号のフロロカーボンリーダーの組み合わせです。

まずはバイブレーションから投げてみます。重さは15グラム。
さすがに重量的にも、ルアーの空気抵抗的にも投げやすいです。このロッドでいちばん快適に飛んでいくのがこれくらいの重量ですね。

お次はアイマの「B-太」です。重さは7グラム。
ん~、バイブレーションをぶん投げた後だと、いろいろ物足りない感がありますね。リールにも左右されますが、このロッドの快適ウェイトは10グラム以上18グラム以下といった感じでしょうか。
最後に、写真は撮り忘れましたが、よく使う5gジグヘッド+モアザンミドルアッパー3.5インチの組み合わせを投げました。
ちょっと軽すぎるかなと思っていたのですが、ここまで重量を落とすと、それはそれで快適な部分がありました。
それはキャストが楽になるということです。
実はマイクロソルトSE、けっこう先重りがひどい。。。
8フィートで多点継のロッドなので仕方のないことなのかもしれませんが、グリップエンドにバランサーウェイトが欲しくなるレベルです。エクステンショングリップを装着しないと重量バランスの関係から、より重たく感じますので、8フィートモデルではエクステンショングリップは必須ですね。
先重りがひどいものですから、スイングもしんどくなります。元々腕力があるほうではないので、釣りをしているときも常に7~8割くらいの力でキャスティングしている私にとっては結構気になるポイントなんです。
重量のあるルアーを投げると、先重り感が助長されますが、軽いルアーなら軽減されます。
だから、5gジグヘッド+モアザンミドルアッパー3.5インチの組み合わせが快適に感じた次第です。
シーバスを釣ってみたよ!

50センチほどのフッコサイズですが、マイクロソルトSEを使って、何匹かシーバスを釣ることができました。
ロングなベイトロッドというとガチガチなイメージがありますが、このロッドのパワーはML(ミディアムライト)です。シーバスにちょうど良いんですね。
バッドパワーは、ML(ミディアムライト)相当といったところで、クラス以上のパワーを感じるということはありませんね。
ずっと愛用しているダイワのモアザンモバイル76MLX-5は、SVFという接着剤の量を極力減らして筋肉質に仕上げたブランクが使われているのですが、細身の割に結構パワーがあります。そういうパワーがあるなぁという感覚はあまりないかも。
だからと言ってパワーがないわけではないです。フッコクラスなら、河川の下げの流れに乗られても問題なく寄せてこれます。
ラインの絡みがちょっと気になった
マイクロソルトSEは、ラインの絡みを軽減するKガイドではありません。
キャスティング中のライントラブルはないのですが、ふとしたときにラインが絡みます。わたしはPEラインを使っているのでなおさらでしょう。
たとえば、ルアーを付け替えるときや、立ち位置を変えるために移動したときなど、Kガイドならラインがスッと抜けてくれるような場面でも、ガイドに引っ掛かってしまいます。
ガイドがブランクに対して垂直に立っているので、ラインが抜けにくいんですよね。ライントラブルを軽減するタイプのガイドが使われているロッドと比べて、明らかにそういう場面が増えています。
特に実釣性能に影響があることではないのですが、ちょっと煩わしいです。

