シマノより発売されている、キャスティングをする釣りなら何でもロッド的なポジションの「ボーダレス」シリーズ。
元々は磯の上物釣りを基本として、色んな釣りに使ってくださいねというコンセプトのロッドだった。
ルアーフィッシングにおいては、コアマン代表の泉氏がシーバスをバラさないロッドとして紹介したことから注目された。
それから、重たいものを遠投することに特化したキャスティングモデルや、ベイトモデル、ソリッドティップモデルなど、ルアーフィッシングを意識したものも多く展開され、今ではシマノの一大ブランドとなっている。
そんなボーダレスシリーズから今回発売されたのが、「ボーダレスショートスペック」。今までのモデルよりも、よりルアーフィッシング向けに作られたパックロッドです。
※画像は公式HPより転載
スペック
品番 | 全長(m) | 継数(本) | 仕舞寸法 (cm) |
自重(g) | 先径/元径 (mm) |
適合ルアー ウェイト(g) |
錘負荷(号) | 適合ハリス(号) | カーボン含有率 (%) |
本体価格(円) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
180L-T | 1.80 | 3 | 68.1 | 65 | 1.2/11.0 | 0.8~21 | 1~3 | 0.8~2 | 95.6 | 38,800 |
260M-T | 2.60 | 4 | 74.8 | 110 | 1.4/15.0 | 2~28 | 1.5~4 | 1.5~4 | 97.7 | 41,800 |
※公式HPより転載
スペックを見るとかなりライトなロッドという印象ですが、「スパイラルX」や「ハイパワーX」など、ロッド強度をアップするための技術が使われており、よほど無茶な使い方をしない限り破損の心配はない。
ティップが細いので、むしろ運搬・収納時の破損に気を付けたほうがよさそうだ。
ガイドはすべてチタンフレームのSICリングで、バッド側はKLガイド、ティップ側はIMガイドが使われている。
ガイド合わせマークがされているのは地味にうれしいポイント。まっすぐセットするのは意外と煩わしいからね。
このレベルのテレスコピックロッドは使ったことがないけど、ガイドのズレも起きにくいようになっているのかな。一応シマノのオリジナル移動式構造らしいが。
続いてモデル別に特徴を見てみよう。
180L-T
※画像は公式HPより転載
ショートスペックのなかでもショートなほうの180L-Tは、メバルやアジングといったライトゲームに特化したモデルだ。
仕舞寸法は68.1センチと6フィート(180センチ)のパックロッドとしては長めにはなるが、そのデメリットを補えるだけの性能を備えている。
注目したいのは自重、なんと65グラムと超軽量に仕上げられており、ワンピースやツーピースのアジングロッドと比べても遜色ないレベルとなっている。
さらに適合ルアーウェイトが0.8~21グラムと、目を疑ってしまうようなスペックとなっている。さすがに21グラムはキツイと思うが、怪しい三流メーカーではなく、大手のシマノがそう言っているのだから幅広いルアーに対応するということだろう。
ボーダレスシリーズの特徴として、磯竿をベースとしていることから、通常のルアーロッドと比べてかなり胴調子になっていると推測される。
ティップ側の柔らかさで軽量ルアーに対応し、バッド側の粘りで重いルアーに対応するということなのだろう。ただし、ピュッと振り抜くようなキャストは苦手で、きちんとルアーの重みをロッドに乗せてゆったりと投げるようなキャストになると思われる。
また、柔らかいが故に「乗せる釣り」に向いている。昨今のアジングロッドは極端な先調子で、繊細なバイトを感じ取って「掛ける」ことに特化しているので、そのイメージではこのロッドをチョイスしないほうが良いだろう。
メバリングロッドは全体的に「乗せる」ことに重きを置いているので、どちらかといえばアジングよりもメバリング向けか。
アジングやメバリング向けのパックロッドで現在のところハイエンド(3万円以上)のロッドは存在しない。このロッドは初めてのハイエンドアジング(またはメバリング)パックロッドとなる。
260M-T
※画像は公式HPより転載
ショートスペックのなかでもロングなほうは、シーバスやクロダイ(チヌ)といったゲームに向いているロッドだ。
仕舞寸法は74.8センチとパックロッドとしては長めになってしまうのが残念ではあるが、継数は4つに抑えられており、携行性能よりも実釣性能を重視したモデルとなっている。
全長は260センチなので、フィートに換算すると8.8フィートになる。シーバスゲームで考えれば、おおよそのフィールドに対応できる長さとなっており、使い勝手の良さが伺える。
ボーダレスシリーズらしく自重も110グラムと軽量に仕上げられており、先ほど180L-Tの項でも記述したのと同じ理由で、適応ルアーも2~28グラムと非常に幅広い。
このロッドをシーバスロッドとして捉えた場合に、特色といえるのは、その「乗せ調子」であろう。
昨今のシーバスロッドは「細く」「軽く」「ピンピン」したロッドが主流であるが、このロッドは「強い負荷が掛かったときにはエンドグリップの手前まで曲がる」と公式HPに記載があるように、非常に胴調子であることが特徴であり、他のシーバスロッドにはない利点となっている。
元々、ボーダレスシリーズがシーバスフィッシングで注目されるようになったのは、その柔らかさを活かしてショックを吸収し、極端に魚がバレにくいことが要因だ(レバーブレーキリールとの併用で、シーバスオールキャッチ理論として紹介されていた)。
その特性はショートスペックにも受け継がれているようで、シーバスロッドとしては「究極の乗せ調子」となっている。
個人的にシーバスを「掛ける」「寄せる」という過程においてはPEラインよりもナイロンラインのほうが向いていると思っている。
それは、ナイロンラインには伸びがあるために、負荷を柔軟に吸収してくれるからだ。
PEラインを使ってシーバスフィッシングをしていると、ガツンと手元にバイトが伝わってきたにも関わらずフッキングしないことが多々ある。PEラインには伸びがない故にバイトを弾いてしまっているのだ。
また、ファイト中にジャンプやエラ洗いで不意にラインテンションが弱くなることがある。バラしの主な原因でもあるだろう。
このとき、伸びのないPEラインではダイレクトに力が伝わり、高負荷な状態から一気に弱まることでバラしやすくなる。しかし、伸びのあるナイロンラインは極端に言えばゴムのようなもので、急にラインテンションが弱くなっても、伸びたゴムが戻るように、徐々にラインテンションが弱まっていくためにバレにくいのである。
とは言っても、遠投性能や感度、耐劣化性能などトータル的にはPEラインのほうがメリットが多いので、昨今のシーバスゲームではPEラインが主流となっている。
やっぱりPEラインのもたらす圧倒的な情報量は欠かせない。
そうなると、前述のナイロンラインのようなメリットを享受するためには、よく曲がるロッドを使うことが最適解ではないかと常々思っていた。ナイロンラインのショック吸収性能をロッドで賄おうということだ。
これまでそういうパックロッドに出会えなかったが、これなら実現できそうなので、予算に余裕があればぜひとも試してみたいと思っている。
両モデル共通のデメリットとして、ルアーに積極的にアクションをつけていくような釣りには向いていないことが挙げられる。柔らかいのでルアーに上手く力が伝わらないためだ。
逆にバチ抜けやメバリングなど、繊細なバイトを拾っていく釣りでは最高のパフォーマンスを発揮するだろう。
現状のパックロッド市場において、唯一無二の特性である「究極の乗せ調子」ロッドであるボーダレスショートスペック。
これから秋の最盛期を迎えるシーバスフィッシングに向けて、1本欲しい。けど高い。おなじボーダレスの廉価版「ボーダレスBB」くらいで似たような特性を持ったロッドを出してくれないかなぁ。
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