パックロッド・オブ・ザ・イヤー2023/これでパックロッド人気が丸わかり
毎年恒例のパックロッド・オブ・ザ・イヤー企画。その2023年版でございます。
2023年もいろいろありましたが、釣り人に身近な問題といえば、クマの被害が目立ったことでしょうか。渓流釣りをたしなむ人は人気のない山中に分け入ることが多いかと思いますので、特に気をつけてほしいです。また、ずっと私たちの生活を脅かしてきた新型コロナウイルスが5類となって、以前ほど警戒される病ではなくなりました。その後、急速に以前の生活が戻って、今ではコロナ以前とほぼ変わらなくなりましたね。『三密』とか『ソーシャルディスタンス』とか、もはや死語。
個人的なことでいえば、長男の中学受験のため、釣りをほぼお休みしておりました。2024年は、このうっぷんを晴らすように釣りに行きたいと思うものの、結局何かと忙しい共働き世帯に変わりはないんですよねぇ。
では、本題のパックロッド・オブ・ザ・イヤー2023を発表します!
集計ルール
まず、集計対象。これは当ブログを経由してAmazonで購入されたパックロッドです。楽天やYahoo!ショッピングで購入されたものは商品単位での追従ができないため除外します。
次に期間。これは2023年1月1日から12月31日までとなります。
そして集計方法。これは『売り上げ個数に、ある数を掛けた数値』と『売り上げ合計金額を、ある数で割った数値』、この合計をポイント表記し、それが多いほど上位とします。
では、第10位から発表させていただきます。
10位 マイクロソルトSE 80MLTC
メーカー:プロックス
ポイント:3587pt
昨年ランキング:ランキング外
モバイルタイプ:テレスコピック
レングス | 249cm(エクステンショングリップ装着…+15cm) |
ピース数 | 9ピース(エクステンショングリップ装着…+1ピース) |
モバイルレングス | 39cm(エクステンショングリップ装着…+15cm) |
ウェイト | 111g(エクステンショングリップ装着…+51cm) |
ルアー | 7-21g |
ライン/PE | ー |
ライン/ナイロン | 8-16lb |
メーカー希望価格 | 9500円(税込) |
大阪の奇才メーカー、プロックスが生み出した超コンパクトロッドがランクイン! 249cmという長さがありながら、わずか39cmにおさまるモバイル性能は特筆ものです。
筆者も使っていましたが、「思ったよりもちゃんと使えるロッド」というのが率直な感想。この価格帯だとすぐに破損したり、ダルすぎて使いにくかったりするんですが、このロッドにそれは当てはまりませんでした。コンパクトという個性もあわせて、手軽に使えるパックロッドが欲しい方におすすめです。
2024年は後継機種の「マイクロソルトTE」が発売されるようです。でも、実は罠だと思っていて、仕様が変わらないのに価格だけ少し上がっているんですよね。恐らく昨今の値上げブームによるもので、既存のものを値上げすると印象がよくないので、モデルチェンジした風にして、さらっと値上げするという手法でしょう。これはプロックスに限らず、他のメーカーでもしばしばみられます。スマホやPCと違って、新しい=進化しているという図式が当てはまらないのが釣り道具。きちんと見極めていきましょう。
9位 ミニマリズムリベルテS805ML
メーカー:ティクト
ポイント:3906pt
昨年ランキング:ランキング外(他機種はランクイン)
モバイルタイプ:ジョイント
レングス | 8ft |
ピース数 | 5ピース |
モバイルレングス | 52.5cm |
ウェイト | 98g |
ルアー | MAX21g |
ライン/PE | MAX0.8号 |
ライン/ナイロン | MAX12lb |
メーカー希望価格 | 38500円(税込) |
ティクトの本格派パックロッドが昨年に続いてランクイン。
ティクトは高知にあるメーカーで、アカメをはじめとした大物が釣れる地域にありながら、主力商品はライトゲーム向けのアイテムとなっています。
そのメーカにあって、このミニマリズムリベルテS805MLは、シーバスやクロダイといったミドルクラスのターゲットをカバーするロッドで、ガイドにはすべてチタンフレームが使われているのがポイント。そこそこのお値段ですが、使われているパーツを踏まえれば、コストパフォーマンスに優れているところも、支持される理由なんだと思います。
8位 モバイルパック646TUL・Q
メーカー:ダイワ
ポイント:4011pt
昨年ランキング:ランキング外
モバイルタイプ:テレスコピック
レングス | 193cm |
ピース数 | 6ピース |
モバイルレングス | 41cm |
ウェイト | 94g |
ルアー | 1-6g |
ライン/PE | 0.2-0.6号 |
ライン/ナイロン | 2-6lb |
メーカー希望価格 | 14500円(税込) |
同社価格比でワンランク上のブランクを搭載したモバイルパックがランクイン。
このロッドは、ダイワのミドルクラスに使用されるHVFカーボンが使われていることがセールスポイント。ブランクの違いって、使ってみないと分かりにくいんですけど、これよりも廉価なロッドとは明らかにハリが違います。シャキッとしたブランクって感じ。あるロッドビルダーの方が、「ロッドの性能はブランクが8割」と言っていたのを目にしたことがあります。
その分、ガイドはテレスコピック用の遊動フレームで、リング素材もSICでもアルコナイトでもありませんが、8割の部分を重視したと考えれば納得どころか、ハイコスパなんじゃないかと思わせてくれるパックロッドとなっています。
第7位 ブレイゾンモバイル666TLS
メーカー:ダイワ
ポイント:4154pt
昨年ランキング:ランキング外
モバイルタイプ:テレスコピック
レングス | 198cm |
ピース数 | 6ピース |
モバイルレングス | 43cm |
ウェイト | 94g |
ルアー | 1.8-7g |
ライン/PE | ― |
ライン/ナイロン | 4-8lb |
メーカー希望価格 | 15800円(税込) |
お手頃なバス釣り向けのパックロッドがランクイン。
ブレイゾンモバイルの中でも666TLSは汎用性が高い1本で、小型プラグからワーミングまで幅広くカバーします。また、ソルトライトゲームにも対応。テレスコピックという手軽さも相まって、あると何かと役立つ1本となっています。
ただ、KフレームではないのでPEラインとの相性はいまいち。その点だけが惜しいですね。
6位 クロステージCRX-S694AJI
メーカー:メジャークラフト
ポイント:4285pt
昨年ランキング:ランキング外
モバイルタイプ:ジョイント
レングス | 6ft9in |
ピース数 | 4ピース |
モバイルレングス | 55cm |
ウェイト | ― |
ルアー | 0.6-10g |
ライン/PE | 0.1-0.6号 |
ライン/ナイロン | 1-5lb |
メーカー希望価格 | 15070円(税込) |
メジャークラフトのロッドの中でも息が長いシリーズで、初代からパックロッドをラインアップしてきたクロステージがランクイン。ちなみに現行モデルは3代目です。
近年、数が増えてきたアジング向けのパックロッドで、初心者の方でも手に取りやすい価格ながら、ずっと使えるだけの性能も持ち合わせています。「ライトゲームに使えるパックロッドが欲しいな。でも安物はいやだ」。そんなときはピッタリの1本でしょう。
5位 ゾディアスC66ML-5
メーカー:シマノ
ポイント:5135pt
昨年ランキング:ランキング外
モバイルタイプ:ジョイント
レングス | 6ft6in |
ピース数 | 5ピース |
モバイルレングス | 43.7cm |
ウェイト | 107g |
ルアー | 5-15g |
ライン/PE | ― |
ライン/ナイロン | 7-14lb |
メーカー希望価格 | 24600円(税込) |
大人気バスロッド、ゾディアスのパックロッドバージョンがランクイン。
バス釣りにおけるベイトタックルというと、カバーにルアーをぶちこんだり、ビッグベイトを投げたり、何かとヘビーな使い方を想起する方も多いと思います。でも、おかっぱりだとそういう場面ってあんまりないんですよね。どちらかといえば、小さめのプラグだったり、高比重ワームのノーシンカーリグだったりをよく使うと思います。だから、ライトよりのC66ML-5がピッタリ。
チャリンコ&パックロッドっていう、アクティブなスタイルでいかがでしょうか。
4位 ルアーマチックMB S96M-4
メーカー:シマノ
ポイント:5258pt
昨年ランキング:ランキング外
モバイルタイプ:ジョイント
シマノのルアーフィッシング向けのパックロッドの中でエントリーモデルといえば、フリーゲームとルアーマチックMB。テレスコピックのフリーゲームに対して、こちらはジョイントとすることで差別化されています。
このロッドをルアーフィッシングに使おうと思ったら、ガイドがKフレームではないことがちょっと無視できないデメリットになっちゃいます。PEラインって、強度に優れる反面、ハリやコシがないので、キャストを繰り返すうちにガイドに絡まることがあるんですが、そのトラブルを低減するべく開発されたのがKフレーム。この形状になって、ガイドにPEラインが絡まるトラブルが激減しました。S96M-4を使う場面といえば、大河川などでのシーバスやサーフからのフラットフィッシュ狙いなど、PEラインが必須の釣りばかりなので、できればKガイドを搭載したロッドをおススメします。
キャスト回数の少ない投げ釣りでは目立ったデメリットにならないので、エサ釣りメインにたまにルアーもやるよって場合にはいいですね。
3位 エクスセンスMB S96ML-6
メーカー:シマノ
ポイント:6654pt
昨年ランキング:ランキング外
モバイルタイプ:ジョイント
シマノ3連打を締めくくる1本は、バリバリのハイエンド、エクスセンスMB!
全ジャンルを含めた現行パックロッドのなかでも特に高級なロッドで、使われている製法や素材を踏まえると、その性能は折り紙付きです。それでありながら、6ピースにしてモバイル性能を確保するなど、本格派パックロッダーも納得の1本。このクラスのロッドは、パックロッドといえども長く使えるほど満足感が高いので、ひるがえってコストパフォーマンスが悪くないという見方もできます。私もダイワのモアザンモバイル765MLX-5という、当時4万円クラスのパックロッドを使用していますが、発売から10年以上経った今も現役バリバリ。
シーバスフィッシングにどっぷりハマっているそこのあなた。一生モノ……とは言わないけど、長く連れ添う伴侶にいかがでしょうか。
2位 グランデージライト76/5
メーカー:アピア
ポイント:7020pt
昨年ランキング:ランキング外
モバイルタイプ:ジョイント
ソルトを中心に、やりこんでいる人から支持されるロッドやルアーを生み出し続けるメーカー、アピア。そのアピアがスタンダードシリーズとして製作したロッドがグランデージです。
ライト76/5は、アジングやメバリングをメインとしたライトゲームロッド。パックロッドでありながらとても軽量で、装飾などは控えめにしつつ、性能に直結する部分を重視した質実剛健というべきロッド。ハイエンドまではいかない価格帯ですが、サブロッドにはもったいないです。メインロッドとしてどんどん使いましょう。
1位 クロスフィールドXRFS-734L-MB
メーカー:アブガルシア
ポイント:7674pt
昨年ランキング:1位(2連覇)
モバイルタイプ:ジョイント
レングス | 7ft3in |
ピース数 | 4 |
モバイルレングス | 59cm |
ウェイト | 107g |
ルアー | 0.8-14g |
ライン/PE | 0.6-1.2号 |
ライン/ナイロン | – |
プライス | 14,000円(税抜) |
やっぱり絶対王者は揺るがない。2019年のこのランキングで初登場1位を獲得して以来、2020年1位、2021年2位、2022年1位と圧倒的な強さを誇っている大人気パックロッド。
クロスフィールド自体は他にもたくさん機種があって、毎年734L-MB以外もランクインしていたんですけど、発売から年月が経って少しずつ売れなくなってきたのか、2023年はこの機種だけでしたね。それでも1位というところを踏まえると、同シリーズのなかでも抜きんでた人気を誇っているのかもしれません。
このロッドが得意とするのはソルトライトゲーム。身近で手軽に釣れて、食べても美味しいというソルトライトゲームですから、その人気は高まる一方です。長さ、パワー的にバス釣りにも流用できますし、手頃な価格帯と良い意味でそれに見合わない装飾など、ここまで支持される理由が分かる納得の1本です。
まとめ
以上、2023年のパックロッド・オブ・ザ・イヤーでした。
特徴的だったのは、昨年までランキング外のものが多くを占めたこと。それだけいろんなパックロッドがある昨今は恵まれています。私が最も釣りに傾倒していた学生の頃は、あまりパックロッドがなかったうえ、安物はすぐにポキっといくような粗悪品が多く、その時代を思えば、本当に種類もクオリティも上がりました。
メーカー別にみると、相変わらずダイワとシマノは強い。アブガルシアはトップこそ獲ったものの以外にも1機種しか入りませんでした。クロスフィールドは2024年にモデルチェンジするそうなので、MBモデルもなるべく早めに続いてほしいところです。
1つ注意したいのは、マイクロソルトSEのところでも書きましたが、モデルチェンジ=性能アップではないということです。物価の上昇が著しい昨今、値上げのためにモデルチェンジしたり、値段は据え置きでも材料のグレードを下げてコストカットしていたり、必ずしも新しいモノが正解とは言えません。むしろ、価格が同じなら、すでに生産された古いモデルのほうが性能が良いということも珍しくないでしょう。
よって、ねらい目は2023年までに登場したモデルとなります。また、新しいモデルが出ると旧モデルは在庫処分価格になったりすることもポイント。メーカーの戦略に惑わされず、本当に良いものを見極めていきましょう。
……と言いつつ、1番大事なことは自分が気に入ったものということ。ずっと連れ添える相棒に出合えたらいいですね(^^)