リール

月下美人AIRの説明を見て思った2つの疑問

cyoshi

2017年、ダイワより新登場となったアジングやメバリング向けリール「月下美人AIR」。ライトゲームに特化された仕様で、軽量に仕上がっており、ラインも3~4ポンドといった細い番手がきっちり巻けるように超浅溝スプールを採用しています。

非常に魅力的なリールだとは思いますが、公式ホームページでこのリールの解説を見ているときに「ん?」と思ったことが2つありました。それは「エアスプールじゃなくても良いんじゃない?」と「ブランキングしなくても良いんじゃない?」ということです。

画像はダイワHPより転載

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疑問その1「「エアスプールじゃなくても良いんじゃない?」

製品の説明ページに下記のような記述があります。

 

ラインストッパーを排除し、極限まで薄く削り込んだスプールスカートでエアスプール並みの軽量化に成功(14月下美人2004スプールと比較して約10gの軽量化)

 

これはすごい!だから全体で175gという超軽量リールに仕上がっているのか!さすがはダイワの最新リール、これでホームグラウンドのメバルも爆釣だぜ!!

・・・とはならないよ。すごく引っ掛かる記述だよ、これは。

 

月下美人AIRに採用されているスプール素材はアルミです。エアスプールはアルミより軽量なマグネシウムに防錆処理を施したものになります(マグネシウムは錆びやすい)。

コスト的にはマグネシウムのほうが遥かに高額となりますから、高級モデルにしかエアスプールは採用されていません。

それが強度的に優れたアルミ素材を薄く仕上げることでマグネシウム素材並みの軽量化が可能なのであれば、わざわざ高いエアスプールを搭載する必要がないんじゃないの?っていうのが疑問その1です。

 

ちなみに、マグネシウムはアルミよりも強度が劣るので、同じ強度で同じ厚さに仕上げるのは不可能です。

 

疑問その2「ブランキングしなくても良いんじゃない?」

製品の説明ページに下記のような記述があります。

 

スプールを1gでも軽くするため、ラインストッパーをあえて排除(代わりにスプールバンドが付属)し、ブランキング(穴あけ)もできないほど極限まで薄く削り込むことで「AIR」の名に恥じない軽量化を達成。

 

これはすごい!だから全体で175gという…(以下略)

いや、すごく引っ掛かる記述だよ、これも。

 

アルミ素材を最も軽量に仕上げるためにこういった製法を採用したのだとしたら、ブランキングできる強度を持たせてブランキングをするよりも、ブランキングが出来ないほど薄く削り込んだほうが軽量化できるということになります。

 

このことに気が付いて、真っ先に思い浮かんだのが、同社のベイトフィネスリールである「SSAIR」と「アルファスAIR」のスプールです。

両モデルとも使われている素材は「G1ジュラルミン」というアルミベースながら従来のアルミよりも強度に優れた高強度素材です。「SSAIR」のスプールは全体にブランキングが施されているが、「アルファスAIR」のスプールにはブランキングが一切施されていません。

それにも関わらず、重量は「アルファスAIR」のスプールが0.2gくらい重い程度の差に留まっています。

この例は、まだブランキングを施している方が軽いのでマシではありますけど、見た目の割に重量差が少ないのは、恐らく「アルファスAIR」のスプールの方が薄肉に仕上げられているということですよね。

 

つまり、ブランキングは見た目ほど軽量化には貢献していないという事実が読み取れます。

それにも関わらず、ベイトリールのスプールにしてもスピニングリールのスプールにしてもブランキングされたスプールが多いのは、軽量化しているという視覚的な効果を生むことで商業上有利だという理由が主なのではないかと思われます。

ところが、ブランキングを施さないよりも施した方が製造コストは上がりますよね。重量という機能面で変わらない、もしくはブランキングなしの薄肉化のほうが軽量に仕上がるのであれば、ブランキングしなくても良いんじゃないのって思いますよね。

 

 

実際には、薄肉アルミスプールとエアスプールの重量比を調べたわけではないので、この説明だけを見て短絡的に「エアスプール不要説」を唱えるわけにはいきませんが、コスト差を考えると、高いエアスプールを搭載したハイエンドモデルにこだわる必要はないのかなと思いますね。

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