ヤマガブランクス「アーリーフォーモバイル」職人がつくるガチパックロッドが誕生!
市場にあふれる数々のロッドたち。それこそ、様々なメーカーが色々な種類のロッドを販売しているのですが、実は設計から製作までを自社で一貫してできるメーカーは限られています。多くのメーカーはそういった製造技術を持つメーカーにOEMという形で製造委託をしています。
ヤマガブランクスは、そのOEMを受託する側のメーカーとして長く続けてきましたが、大手メーカーが海外に生産拠点を移したため、生き残りをかけて立ち上げた自社ブランドが「ヤマガブランクス」です。
「ヤマガブランクス」自体は2008年から発足したブランドですが、会社である「山鹿釣具」は1989年に設立されています。つまり、それだけ竿づくりのノウハウを持ったメーカーということです。
そんな「ヤマガブランクス」から、待望のパックロッドが発売されました。

基本情報
モデル名:EARLY for Mobile(アーリー フォー モバイル)
メーカー:ヤマガブランクス
発売年月:2022年7月
メインターゲット:シーバス、フラットフィッシュ、クロダイ、ロックフィッシュなど
モバイルタイプ:ジョイント(3-4ピース)
スペック
機種名 | レングス | 自重 | 継数 | モバイルレングス | ルアー | ライン | カーボン含有率 | 希望価格 |
84ML | 2540mm 約8フィート4インチ | 126g | 4 | 667mm | 5-24g | PE0.6-1.2号 | 94.20% | 46,200円 |
96MMH | 2915mm 約9フィート6インチ | 180g | 4 | 768mm | 10-60g | PE1-2号 | 98.70% | 51,920円 |
76MMH | 2305mm 約7フィート6インチ | 145g | 3 | 807mm | 8-55g | PE1-2号 | 97.20% | 46,200円 |
ミドルレングスのミディアムライト
ロングレングスのミディアムヘビー
ショートレングスのミディアムヘビー
はっきりと住み分けされた3本がラインアップされています。ハイエンドパックロッドとして性能は申し分ないのですが、3ピースまたは4ピースであるため、そこまでコンパクトにならないことが惜しいですね。
性能が重視されがちな高価格帯は、特に2ピースロッドが支持される傾向にありますから、ファンの多い「EARLY」シリーズとはいえ、それほどニーズが多いとは思えません。そこに中途半端なモバイルレングスにするのなら、もっとパックロッドらしく5ピースや6ピースにしても良かったんじゃないかなと思います。

メーカーホームページには、それぞれの機種のベンディングカーブが記載されています。どの機種がどれくらい曲がるのか、一目でわかって嬉しいですね。他のメーカーも見習ってほしいです。
主な仕様
価格の目安となるガイドは以下の通り
○フレーム素材=ステンレス
○フレーム形状=Kガイド
○リング素材=SIC-S
この価格帯だとステンレスフレームより軽量なチタンフレームを採用するメーカーが多いですが、「アーリーフォーモバイル」はステンレスフレームを採用しています。これは強度を重視した結果だと思われます。チタンフレームは単純な固さではステンレスフレームを上回りますが、その分、柔軟性に欠けます。つまり折れやすいってこと。価格的にはチタンフレームにしてよって思わなくもないですが、ラフに扱える実用性重視のセッティングになっているということです。
リングもSIC-Sより上位のトルザイトではありませんが、このあたりはコストの関係でしょうか。完全国内生産というのがヤマガブランクスのウリですから、海外生産品よりもコストが掛かるのでしょう。
ジョイントは並継と逆並継の併用です。ひと昔前は、印籠継がもっとも優れたジョイント方式だというのが一般的でしたが、最近はそうでもありません。印籠継は中に芯を入れて継ぐので重量があります。その重量が特に継数の多いパックロッドにおいてはデメリットが大きくなってしまうため、高価格帯であっても、並継や逆並継を採用するロッドが多くなってきました。
グリップはガイドと同様にFUJIのものが使われています。ダイワやシマノなど大手メーカーはオリジナルグリップを開発・採用していますが、それができるのは大手だから。「ヤマガブランクス」のような小規模メーカーでは既製品パーツを使うのが一般的です。
84ML

対シーバス王道スペックです。8フィート4インチというどこでも使える万能レングス。ミディアムライトという小型~中型ルアーが使いやすいパワー設定。「アーリーフォーモバイル」のなかで中核を成すモデルですね。
都市部の河川、運河、港湾部といったフィールドがメインなら、これ1本でOK!
96MMH

地方を流れる大規模河川、サーフ、ロックショアなどがメインフィールドならこっちですね。そういうところは車社会なので、ほとんどの人が車を持っているでしょう。そうなると、パックロッドの存在意義は、コンパクトカーでも無理なく収納できるってところでしょうか。釣具専用車ならともかく、多くの場合はファミリーカーを兼ねるでしょうから、例えば買い物ついでの釣行で、十分に釣具を置くスペースがとれないってときでもパックロッドならスッキリ収納できます。家で保管するときもスッキリ収納できます。
地方におけるパックロッドの存在意義というと、こういうところに活路を見出すしかないかなぁ。あとはバイク釣行、あるいは旅行のお供ですかね。
76MMH

がっちりと短い、「アーリーフォーモバイル」の末っ子。これくらいのレングスだとオフショアでも使えるので、ボートからのロックフィッシュゲームなどにも使えますし、ショアからだって使えます。そういう意味では万能ロッドですね。
惜しいのは短くなって3ピースにしちゃったことです。このスペックなら、国内外での遠征怪魚ハントというのも視野に入りますから、4ピースでコンパクトにしても良かったのでは?
以上、「アーリーフォーモバイル」でした。
貴重なハイエンドパックロッドで、ソルトゲームに幅広く対応するラインアップとなっています。こういうハイエンドパックロッドは数が出ないことが前提だし、メーカー規模も小さいので、生産数は多くないと思います。そのため、欲しい人は早めに入手することをおススメします。
なお、個人的に予算があったとしても、モバイルレングスが長いから買わないかな。首都圏在住、車なしというスペックの私にとって、カバンに入るサイズ(55センチ以下)は譲れない要素なんですよね。